「チェイサー」~”漫画の神様”を追いかける男の哀愁をコミカルに描く~

チェイサー1巻表紙

出典:チェイサー(1巻)より

「おれはキャプテン」や「砂漠の野球部」を書いた、コージィ城倉 先生の作品。

漫画の神様こと手塚治虫と同い年、同じ時代を生きた主人公の漫画家人生を、昭和の時代背景と共に描いています。

『手塚 治虫 』自体をあまり描かず、強烈に意識する主人公と周囲の人間を描くことで、手塚 治虫 先生のことも知れる作品となっています。

作者コージィ城倉
出版社 小学館
掲載誌ビッグコミックスペリオール
発表期間2012年~2019年
巻数全6巻
他メディア
目次

あらすじ

昭和30年代前半、既に時代の寵児となっていた”漫画の神様”こと手塚治虫を、同世代の漫画家である「海徳光市」は、一方的にライバル視をしていた。

月刊誌に戦記物の連載を抱え、そこそこの人気漫画家である海徳は、表向きは手塚治虫の漫画を批判しながらも、裏ではこっそり手塚漫画をコレクションしている。
人づてに聞いた手塚治虫の情報を聞いては、自分もその行動を真似て、漫画の仕事だけではなく手塚治虫の趣味、家族、経歴までも対抗意識を燃やし、手塚治虫を追いかける…

果たして海徳は手塚治虫の背中に追いつけるのか!?

見どころポイント

おすすめポイント
  • 手塚治虫の背中を追う(真似する)男の人生を描く
  • 日本漫画界の歴史が時系列でわかる

手塚治虫の背中を追う(真似する)男の人生を描く

手塚治虫を勝手にライバル視をする戦記物の漫画家の海徳。
手塚治虫をライバル視しながらも、強烈な憧れの感情もありながらも周囲には絶対認めない。

漫画に使う紙やペン、仕事のやり方を聞けば自身も真似して取り入れる。

漫画を描く体勢も、手塚治虫の真似をしてみる。

手塚治虫が仕事の締め切りに追われる時、旅館で作業すると聞けば、余裕があるのに旅館を取ってもらったり、部屋にステレオがあると聞けば自分も買う。

家にピアノがあると聞けば、ピアノは無理だから引けもしないアコーディオンを買ってしまったりと…

手塚治虫が何か仕事をするたびに、小さいスケールでも対抗する姿がコミカルに描かれています

「そこを真似してもしょうがなくない?」という中年男性が必死に足搔く姿が、哀愁があり可愛いくもあり、思わずクスっとしてしまうエピソードが満載の作品です

チェイサー1巻、逃亡する海徳

手塚治虫の真似して編集者から逃げてみる海徳
出典:チェイサー(1巻)より

ピアノの代わりアコーディオンを買う海徳
出典:チェイサー(1巻)より

日本漫画界の歴史が時系列でわかる

昭和の漫画業界の歴史が時系列で描かれており、ちょっと荒くれた業界だった頃からこの物語は始まります。

『日本の経済成長する中で、どのように今の漫画業界が作られたのか?』
『時代と共に漫画の立ち位置がどういう風に変わっていったのか?』


劇画ブームの台頭、「鉄腕アトム」からのアニメブームや、『週刊少年ジャンプ』が週刊誌で最初はメジャーでは無かった雑誌だった、オイルショック時の週刊誌は…等、時系列でリアルに描かれています。

ジャンプ編集者と打合せをする海徳
出典:チェイサー(4巻)より

感想

“漫画の神様”、手塚 治虫 先生を追いかけるという意味での「チェイサー」。

同世代で同業者だからこそ悔しさと、手塚 治虫 先生への尊敬の間で揺れ動き続ける、「海徳光市」の日々の生活と行動はユーモラスでありながら哀愁に満ちています。
巻を読み進めていくごとに「2人の間にどのような接点が生まれていくのか?」と気になってしまい、あっという間に読み切ってしまいました。

また当時の時代背景と共に、漫画という文化や出版社がどのように変わっていったかも分かり、知的好奇心をくすぐる作品です。

手塚 治虫 先生という巨大なスターの影には、「海徳光市」の様な漫画家は多数いたと思います。
天才と認めた上で、それでも対抗意識を燃やす「海徳光市」を見ていると、自分もまだまだ頑張ろうと思えるでしょう。

手塚 治虫 先生の漫画やアニメ以外の仕事(大阪万博のプロデュースやエッセイなど)にもエピソードで触れられており、手塚 治虫 先生があまり出てこないのに、手塚 治虫 先生の天才的な才能が伝わる、不思議な作品になっています。

勿論、厳しい漫画界を駆け抜けた「海徳光市」のストーリー漫画としても、とても面白い作品です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次